三島由紀夫『仮面の告白』

Shigure-sou2007-06-13

「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」と作者・三島由紀夫は言っている。女性に対して不能であることを発見した青年は、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求し、“否定に呪われたナルシシズム”を読者の前にさらけだす。三島由紀夫の文学的出発をなすばかりでなく、その後の生涯と、作家活動のすべてを予見し包含した、戦後日本文学の代表的名作。
新潮文庫HPより)

 凄い…吸い込まれるような文章だ。生きてて良かった。
 この人の作品は『金閣寺』しか読んだ事が無かったのだが、あれも素晴らしかった。
 表現・言い回しが解り辛いから頭を使うし、其所で感じる不思議な感覚(多分人に言っても解ってもらえないだろうから説明は省く)は病み付きになる。
 そろそろ安部公房の作品を読み終えるので、次は三島由紀夫を全て読もう。



 しかし解説と年表が長すぎる。
 終盤、園子との逢引のシーンで文庫の残りの厚みを見て、「まだ本文は30ページくらいは有りそうだな」と思っていると、数ページ読んだところで終了。文庫280ページ中、40ページ近くが解説と年表だったのだ。こういう時は、いつも残念な気持ちになる。(文ヲ)