昴。

Shigure-sou2007-06-14

今日家に帰るとポストにパンフレットが入ってた。
どうやらスバルの営業マンがうちに来たらしい。
しかし、日中の我が家には誰もいない。無駄足になってしまったわけだ。



先週末、スバルで新型インプレッサを試乗した。

僕的にはなかなかいいデザインだと思うし、1,500ccのエントリーモデル《15S》を試乗してみたところ、走りも乗り心地もいい。
従来型には乗ったことがないので分からないが、一般的な乗用車としていい出来だと思う。
AWDだから雨の中でも安定感があるし、シートの作りはしっかりしている。
3ナンバーだから室内もそこそこゆったりとしている。4人で旅行に出掛けたりするにはちょうどいいサイズだ。
5ドアハッチバックと言うのは、一番実用に即した形だと僕は思う。
これなら買ってもいいと思える車だった。
カローラアクシオなんか比べ物にならないくらいインテリアの質感は高い。
如何せん3ナンバーである、と言うことが気になったが、税金などの面では従来の5ナンバーサイズと変わらないらしい。
考えてみたら、人生発のスバル車体験だった。


BMWの1シリーズとアクセラスポーツを足したようなデザイン」と批判されているみたいだが、自分的には別にこれがインプレッサで何ら違和感を感じない。
むしろデザインがコロコロ変わって迷走していた先代モデルから良くぞここまで進路修正を果たした、と褒めてやりたい。
プッシュエンジンスイッチと電動ミラーのボタンにトヨタの気配を感じたのは内緒だ(爆)





帰宅後、これに触発されて村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を読み返した。

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)

この作中に、主人公の愛車として出てくるのが、スバル・レオーネだったことを思い出したのだ。
1983年が舞台となっているこの作品の中で「ひとつ前のモデル」という記述があることから、初代モデルだったと推測する。

現在、レオーネという車は販売されていない。
レガシィインプレッサが、それぞれレオーネの後継車と言えるだろう。
僕のイメージとしては、インプレッサの方が近いと思う。
レガシィも嫌いではないが、代を重ねるごとに巨大化し、高級車になってしまった。
その点、インプレッサの方がコンパクトで、作中のイメージに合う気がする。


なぜ村上春樹は、ここでスバル・レオーネを登場させたのだろう。
なぜ、スバル・レオーネである必要があったのだろう。
別にトヨタ・カローラでも日産・サニーでもホンダ・シビックでも良かったのに、どちらかと言うとマイナーなスバル・レオーネ。
それはまだ分からない。
けれど、主人公をはじめ『ダンス・ダンス・ダンス』の登場人物たちがスバルに抱くイメージと言うのは、ものすごくよく分かる気がする。

「これいい車ね」
「よくわかんないけど、乗っていて何となく親密な感じがする」(ユキ)

「僕と車とでたすけあっているんだ。簡単に言えば。」
「まるで僕自身の分身のように肩身の狭い旧型のスバル。」
「僕のスバルを持ってくる。中古だし、年式も古いけど、いい車なんだ。気に入ってる。僕はマセラティにも乗った。でも正直言って僕のスバルの方がずっといい」(僕)

「でもいい車だった。実用的。安い。僕は好きだよ」(五反田君)


スバルの車とは、そういうイメージだ。
実用的で必要最低限の装備を持ち、尚且つ廉価モデルでもオーナーが所有する喜びを感じることができる。


そういう車に出会うと言うことは、とても素晴らしいことだと思う。
村上春樹の車に対する考えとして、よく『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の《計算士》の発言が挙げられる。

「自分が欲しいのは純粋な買物用の車なのだ」

と言う記述だ。
たぶん天音や市松はそういうタイプの人間だと思うけど、僕はそう割り切れない。
結局何だかんだ見栄を張っちゃうような気がする。