教師文学。

教採対策講座で薦められた、教師が主人公の名作2作。

二十四の瞳 (新潮文庫)

二十四の瞳 (新潮文庫)

兎の眼 (角川文庫)

兎の眼 (角川文庫)

どちらも名作です。



二十四の瞳』は昭和初期の瀬戸内海・小豆島が舞台。
村の分教場に低学年担当として、師範学校を出たての“おなご先生”こと大石先生が赴任してくるところから物語は始まる。
この大石先生の人生を通して、作者・壺井栄の教育観や戦争観が分かる。
この時代の教師たちはどういう気持ちで子どもたちを戦場へ送ったんだろうか。
お国のため、天皇陛下のために死ぬことが美徳とされた時代。
大石先生は戦地へ送り出した若い教え子たちを失い、船員だった夫を失い、そして戦後の食糧難で幼いわが子をも失った。
腰抜けと言われても構わない。
僕は戦争は嫌いだ。子どもたちを戦場へ送りたいとは思わない。
戦争と言うのは大人のエゴだ。それに子どもたちを巻き込みたくはない。



兎の眼』もまた深く考えさせられる作品。
確か以前市松も読んでいたような気がする。
とある町の小学校を舞台に、小谷先生と言う新任教師と塵芥処理所に住む子ども・鉄三を中心に、職業差別や障害者問題、そして本当の教育とは何ぞやという事を考えさせられる。
話が進むにつれ、小谷先生がどんどん成長していくが手に取るように分かる。
自分は小谷先生や足立先生のような教師になれるだろうか。
なかなか難しいことのような気もするが、それが出来ないのであれば教師になっても仕方ないような気もする。
教育者になることの難しさを改めて考えさせられた作品だった。
うーむ。