島本理生『ナラタージュ』

また本を読み終えたので紹介します。

ナラタージュ (角川文庫)

ナラタージュ (角川文庫)


あらすじ

お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れて行って見捨てて、あなたはそうする義務がある――大学二年の春、母校の演劇部顧問で、思いを寄せていた葉山先生から電話が掛かってきた。泉はときめきと同時に、卒業前のある出来事を思い出す。後輩たちの舞台に客演を頼まれた彼女は、先生への思いを再認識する。そして彼の中にも、消せない炎がまぎれもなくあることを知った泉は――。早熟の天才少女小説家、若き日の絶唱ともいえる恋愛文学。
(角川文庫より抜粋)

感想

以前『リトルバイリトル』と『シルエット』を読んだ時の感想をこのブログに書いた
その時は大した感想を抱かなかった。
しかし、今回のこの『ナラタージュ』はなかなかいい作品だった。
教え子と教師の禁断の恋。
お互いに最後の一線を越えたいのに越えられない、いや、越えない。
この心の葛藤が上手く描けていた。
かなり切ない作品だ。
今まで女性作家は江國香織くらいしか気に入った作家がいなかったが、島本理生もなかなかいい本を書く。
ただ、後半で出てくる泉の後輩・柚子が暴行を苦に自殺すると言う件は、この物語において果たして必要だったかどうかは疑問だ。